物理基礎⑯ 摩擦力② ~動摩擦力を運動方程式で解く~

物理基礎・物理
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こんにちは!前回の話で静止摩擦力について学びました。今回は動摩擦力のポイントを抑えつつ、静止摩擦力との違いをまとめていきましょう。

動摩擦力の定義とポイント

動摩擦力とは、粗い面上を滑っている物体にはたらく、物体の運動を妨げる力のことです。

動摩擦力のポイントは以下の点です。

  • 動摩擦力の大きさが常に一定の値を示す。
  • 動摩擦力の大きさは物体の速さに関係しない。
  • 動摩擦力の大きさは接地面積に関係しない。

とにかく動いてさえいれば確実に同じ値を示すということです。

ちなみに「動く」という表現よりも「滑る」の方が正しい表現だと私は思います。

静止摩擦力の大きさが変化することと比べると計算の仕方が異なってきます。

動摩擦力の公式

動摩擦力大きさf ‘〔N〕は,垂直抗力の大きさN〔N〕に比例します。

f ‘μ’N (動摩擦力〔N〕=動摩擦係数×垂直抗力〔N〕) 

式の形は最大摩擦力と全く同じです。区別のためにμに何かを付けることが多いです。問題文によります。垂直抗力に関しては、力のつりあいで解くしかない点も同じです。

μ’は動摩擦係数と呼ばれています。

基本的な考えかたは最大摩擦力に出てきた静止摩擦係数と同じで、触れている物質の形状や状態によって、動摩擦係数が決まります。微妙な違いもあるので、下でまとめてみましょう。

静止摩擦係数と動摩擦係数

摩擦係数のポイント

  1. 接触する面どうしの種類や状態によって決まる定数。
  2. 接触する面の大小にはほとんど関係しない。
  3. μ、μの値は必ずμ≦1.0である。
  4. μ>μ‘ が成り立つ。

静止摩擦係数の方が必ず大きいことは覚えておきましょう。計算結果が間違っているかの参考にもなりますし、問題文に2つの係数が出てきた気に区別する手がかりにもなります。

例 ガラスとガラスの場合

  静止摩擦係数0.94   動摩擦係数0.4

係数に0.5の差があるので、ガラスとガラスが触れ合っている場合は、止まっていると動かしにくいですが、一旦動くと摩擦力の値が下がることがわかります。

すべての物体は、一旦動けばかなり楽に動かせます。負荷をかけたければ垂直抗力の値を増やしましょう。重くするのが楽です。

物理基礎の動摩擦力が出てくる問題は、この2パターンの解き方で解こう。

物理基礎の範囲で動摩擦力が出る場合、解き方としては主に2つのパターンが多いです。

  • 運動方程式 → 等加速度直線運動
  • 力学的エネルギーと仕事の関係

どちらも解き方を覚えておく必要があります。

今回は運動方程式の問題を解いてみましょう。

問題を解く

問題文

あらい水平面上にある質量2.0kgの物体に軽い糸をつけ,右向きに7.9Nの力で引き続ける。このとき物体に生じる加速度はどの向きに何m/s2か。重力加速度の大きさを9.8m/s2とし,物体と水平面との間の動摩擦係数を0.25とする。

解答・解説

加速度を求めるときは運動方程式か等加速度直線運動なので、まずは運動方程式で解けないか考えます。 まずは、図に力を書き込みます。あとは式を立てるだけです。♪

右向きを正として,物体の加速度をa〔m/s2〕とすると, 運動方程式maFより

2.0×a=7.9-μ´N
鉛直方向の力のつりあいから N=2.0×9.8 ・・・①  
μ´=0.25と,①式のNの値より
  2.0×a=7.9-0.25×(2.0×9.8)

2.0×a=7.9-4.9

2.0a=3.0

a=1.5m/s2
a>0(正の向き)であるから,加速度は右向きに1.5m/s2

運動方程式の解き方を忘れた人は、運動方程式のページに戻りましょう。

まとめ

動摩擦力が力として出てきたことにとって問題数がかなり豊富になります。とにかく以下のポイントを抑えましょう。

  • 動摩擦力は常に一定値を示す。
  • 解き方は、運動方程式か力学的エネルギーと仕事の2パターンがほとんどである。
  • 動摩擦係数は静止摩擦係数より必ず小さい。

摩擦力は日常でも大変お世話になっています。妨げるという響きが邪魔をしている感じに聞こえますが、摩擦力がないと日常生活は困ることばかりなので、問題としても取り上げられることが多いです。とても、頻出の内容なのできちんと抑えましょう♪o(^▽^)o

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