物理基礎⑮ 摩擦力① ~静止摩擦力の計算方法を身に着けよう~

物理基礎・物理
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こんにちは!今回は摩擦力について学んでいきたいと思います。

摩擦力は大きく分けて2つ、式の使い方も考えると3パターンの違いを理解できれば、ほとんど解けます。

様々な力の分野で摩擦力について細かく説明していないのは、力のつりあいと運動方程式を使い分ける必要があって、混乱を招くからです。

ということで、どのような違いがあるのかを理解できるように頑張りましょう♪

摩擦力とは

摩擦力とは、物体の運動を妨げようとする力です。必ず物体の運動方向と逆向きに力が発生します。

ここからの物理基礎では、

  • 「あらい」水平面のような言葉があれば摩擦力があり
  • 「滑らかな」水平面と書いてあれば摩擦力なし

と判断していきます。

上記にも記載がありますが、摩擦力は大きく分けて2パターンが存在します。

  • 物体が静止している時の静止摩擦力
  • 物体が動いている時の動摩擦力

があります。今回は、静止摩擦力について、説明していきます。

静止摩擦力

静止摩擦力は物体が動き出そうとするのを止めようとする力です。

以下の特徴があります。

  • 静止摩擦力がはたらいている間は、面に平行な方向の力の成分の和が常に0となる。
  • 静止摩擦力の大きさは,加えた力の大きさに応じて変化する。

1つ目に関しては、静止していることによる力のつりあいであることがわかります。

2つ目に関しては、下の方で説明していきます。

静止摩擦力の力の大きさが変化するとはどういうことなのか

①横に押す力がなければ静止摩擦力は値が0

②5Nで押されていれば5Nで押し返す

このように、押す力の大きさによって値が変動していきます。

しかし、押す力が大きくなると物体はいつまでもその場に留まることができずに動き出してしまいます。

この動き出す直前の静止摩擦力が摩擦力の中でも最大の値になるため、最大摩擦力と呼ばれ、公式が用意されています。

最大摩擦力 

物体がすべり始める直前の静止摩擦力を最大摩擦力とよんでいます。

キーポイントとなる言葉は「滑り出す直前」、「動いた」などの動き始めを表す言葉です。

最大摩擦力の公式

最大摩擦力の大きさF〔N〕は,実験によると,垂直抗力の大きさN〔N〕に比例します。

F=μN (最大摩擦力〔N〕=静止摩擦係数×垂直抗力〔N〕)  

ここで覚えておかないといけないのが、垂直抗力Nは値が変動するということです。

垂直抗力Nの値は力のつりあいで求めるしかありませんので、うかつにN=mgだと代入すると間違える可能性があります。

静止摩擦係数

μ(読み方:ミュー)を静止摩擦係数と読んでいます。この値は触れている物体同士で決まる値です。物体どうしの滑りやすさを表していると思って頂ければ良いです。

値が小さいほど滑りやすく、値が大きいほど滑りにくいです。

値は、素材の種類や形状、状態で変動します。

例えば、氷を冷凍庫から出すと滑りくいですが、溶けてくる滑りやすくなるように値が変化することがあるということです。

実際に問題を解いてみよう。

あらい水平面上に置かれた質量5.0kgの物体を水平に引く。物体と面との間の静止摩擦係数を0.20とする。

問1

6.0Nの力で引いたところ,物体は動かなかった。このとき物体にはたらく静止摩擦力の大きさは何Nか。

問1 解答・解説

物体は動かなかったので力のつりあいで解いていきます。答えは6.0Nです。

問2

水平に引く力がある値0〔N〕をこえた直後に物体は動きだした。0〔N〕を求めよ。

問2 解答・解説

動き出したは、動く直前として解いていきますので、考え方は力のつりあいです。

また、最大摩擦力(公式)を使えると判断して解いていきます。

0=F がつりあいで成り立ちますので、

F=μNを用いて、求めたいので、まずは垂直抗力Nを求めておきます。

N=mgより、N=5.0×9.8

F=μNより F=0.20×5.0×9.8=9.8N

0=F より0=9.8N

以上が静止摩擦の問題です。動いているのか動き始めなのかを2パターン考える必要がありますね。

受験する人は覚えておくこと

また、静止摩擦力fと最大摩擦力Fにはf<Fという関係が必ず成り立ちます。この関係は、物理の問題を解くときに解説で度々使う考え方です。

この場合は、静止摩擦力の大きさfを力のつりあいで求めて、fの部分に代入していくパターンです。覚えておきましょう。

まとめ

摩擦力の中の静止摩擦力だけで沢山の注意事項がありましたね。次は動摩擦力について解説していくので、ゴチャゴチャにならないようにまとめておきましょう。

  • 静止摩擦力は大きさが変化するため、力のつりあいで解く。
  • 最大摩擦力のみ公式がある。キーワードは動き出す
  • 公式を使う際の垂直抗力Nは力のつりあいで求める。(図示が必須)

摩擦力の公式を使う問題では、垂直抗力Nの値を求めることが必須になってきます。力を図示して、丁寧に解いていけば確実に解けます。

頑張っていきましょう!(。`・ω・)9”

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