物理基礎⑲ 浮力 ~どかした流体の分だけ浮かせる力が増える!計算方法を学ぼう~

物理基礎・物理
スポンサーリンク

こんにちは!今回は浮力について学んでいきます。

私が浮力の説明をするときには、よく「氷山の一角」の話をします。

見えている部分は全体のほんの一部にすぎないという意味で日常では使います。

しかし、物理の図では、埋まっている部分も丸見えです(笑)

そう、浮力の計算で求めることができるのは、浮き上がる力の大きさや、氷山の何%が浮き出ているとかいうのを求めることができます。

これは、大変素晴らしいことです。

例えば、航海に出る際に海の密度を調べておけば、氷山の大きさを見て、90%近くが海中にあるから近づかないでおこうとか、事前に察知することが出来るわけです。

・・・そんなの日常で使わないじゃん!

と思うかもしれませんが、使っている人も沢山いますよ!

海上自衛隊や航海士、海を仕事にする人は確実に身につけておきたいところです。

海や川で遊ぶ際にも、知識があると助かるかもしれません。ピンチの時に計算する余裕はないですけどね(笑)

とりあえず、浮力の計算を行っていきましょう!

アルキメデスの原理

浮力の大きさは,物体が押しのけた流体の重さに等しい。

これを、アルキメデスの原理といい、この原理を元に計算を行っています。

ちなみに、流体という言葉があるので、空気中でも浮力ははたらきます。

ヘリウムをいれた風船や熱気球が良い例だと思います。

ちなみに、アルキメデスはお風呂に入った時に思いついて、嬉しさのあまり裸で走り回ったと言われています(笑)

浮力の公式

私は、このように書いています。

F=ρVg (浮力=おしのけた流体の密度×物体がおしのけた流体の体積×重力加速度)

浮力を解く際に1番大事なのが、物体がどの流体をどれだけ押しのけたのかを意識することです。

浮力の計算で使うのは、

  • おしのけた流体の密度
  • 物体がおしのけた流体の体積

この2つを間違えないことが重要です。

なぜかというと、浮力の問題では、

  • 流体の密度
  • 物体の密度、体積
  • 物体が流体をおしのけた体積

など、似たような物理量が沢山書かれるからです。

浮力の公式の求め方 

浮力の公式は、水圧によって下から押される力-水圧によって上から押される力で表されます。

物理基礎⑱大気圧と水圧でも説明しましたが、水圧は深くなるほど値が大きくなるため、下から押される力の方が確実に大きいです。

ちなみに、左右も常に押されますが、深さが等しいので左右の力は打ち消しあって影響が出ません。

それでは、求めてみましょう。

上から押される力 F1=(ρh1gp0)S 

下から押される力 F2=(ρh2gp0)S

下から押される力-上から押される力

FF2F1=ρS(h2h1)g=ρVg

問題を解いてみる。

問題文

密度ρ’,体積Vの氷が,密度ρの水に浮かんでいる。水中にある氷の体積をV,重力加速度の大きさをgとして,次の各問に答えよ。

(1)氷全体の重さはいくらか。

(2)氷が受ける浮力の大きさはいくらか。

(3)氷の水面から出ている部分の体積を, Vρρ’ を用いて表せ。

解答・解説

(1)氷全体の重さはいくらか。

氷全体の重さは、(氷の密度)×(氷全体の体積)×(重力加速度)で表されるため、

氷全体の重さは、W=ρ’Vg

(2)氷が受ける浮力の大きさはいくらか。

アルキメデスの原理により、氷が押しのけた海水の重さを求めればよいので、

(水の密度)×(海水中にある氷の体積)×(重力加速度)で求められる。

したがって,氷が受ける浮力の大きさは,F=ρVg

(3)氷の水面から出ている部分の体積を,Vρρ’を用いて表せ。

まず、水面から出ている氷の部分はVVと表せます。

しかし、この答えだと問題文に沿って答えることができていません。

なので、もう1つ式を立てて、Vを消去できるようします。

物体が浮いているときは、静止していると考えるので、力のつりあいを用いることができます。

このようにして、問題を解いていきます。

物体が浮くか沈むかは物体と流体の密度の値で決まる。

上記の問題を解いて、答えからわかるのは、氷の密度が水の密度より小さいから浮くことが出来るということです。

密度に関しては、以下の3パターンが考えられます。

  • ρρ’ の場合、計算結果が正になるので、表面に物体が出てきます。
  • ρρ’ の場合、計算結果が0になるので、表面に物体が出てきません。
  • ρρ’ の場合、計算結果が負になるので、表面に物体が出てこず、むしろ沈んでいきます。

流体内で浮きたいなら、流体より密度が小さい物体が必要ということになりますね!

水に氷を入れると、どれぐらい浮くのか求めてみる。

先ほどの問題では、浮かんでいる体積の値を文字で表しました。実際の値はどれぐらいになるか、数値を代入して計算してみましょう♪

氷の密度をρ=920kg/m3,水の密度をρW=997kg/m3とするとき,氷の水面から出ている部分の体積は,氷全体の体積の何%になるかを求めてみましょう。

 氷全体の体積に対する水面から出ている部分の体積は,上記の答えより、

7.7%程度が水の上に出てくることがわかります。

流体の濃度によりますが、8~12%ぐらいが大体の答えの目安になると思います。

今度、実験して確かめようと思います。

まとめ

浮力の計算はできましたか?今回は氷の出ている部分の計算をざっくりとやってみました。

なんだか、文字が多くてゴチャゴチャしていると思いますが、大切な部分をまとめてみましょう!

  • 浮力の大きさは,物体が流体をどれだけ押しのけたのかを意識する。
  • 浮力の公式は、下から押される力-上から押される力で表される。
  • 物体が流体中で、浮くか沈むかは、物体と流体の密度の値で決まる。

浮力の解説は、教科書では、2~3ページしかありませんが、力のつり合い運動方程式、単振動など様々な分野で出題されます。

上記の項目の解き方を忘れた人は、青文字のリンクから飛んで復習しましょう!

きっと、これからお風呂やプール、海などで浮力を感じて生きていくことができると思います!最高ですね♪(・∀・)ノ

前回、次回の話

コメント